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里親支援ミニコラム「里親家庭におじゃまします!」第5回

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里親制度ってなに?どんな生活をしているの?
耳にすることはあるけれど、実はよく知らない里親制度。
それなら、里親さんに直接聞いてみよう!ということで、里親さんに直撃インタビュー!
里親になったきっかけや子どもとの生活の様子など、いろいろうかがいました。

◆里親制度についてのページはこちら
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◆偶数月は「さとおやミニ講座」開催しています
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第5回目は、中高生を多く預かった経験のある、養育里親の鈴木さん(仮名)です。今回は里父さんに話をうかがうことができました。
*養育里親…養子縁組を結ばずに一定期間、子どもを預かり育てる里親のこと。詳しくは里親制度のページをごらんください

 【連載更新中♪】
平成30年度新連載「里親家庭におじゃまします!~里親を支える人たち編~」はこちら

【平成29年度の里親インタビューはこちら↓】(注:コラム内のお名前はすべて仮名です)
*第1回(小学生の女の子を預かる佐藤さん)へのインタビューはこちら
*第2回(子どもと特別養子縁組をした田中さん)へのインタビューはこちら
*第3回(定期的に親と会っている姉妹を預かる加藤さん)へのインタビューはこちら
*第4回(ベテランの養育里親の山田さん)へのインタビューはこちら
*第6回(特別養子縁組をした息子がもうすぐ成人を迎える高橋さん)へのインタビューはこちら

 

常にたくさんの子どもたちがいる家でした

———-里親になったきっかけを教えていただけますか?

私には子どもが二人いるのですが、子どもたちが小学生のころから、友だちを家に連れてくることが多かったんです。最初は子どもと同学年の友だちだけでしたが、そのうち違う学年の子どもたちも来るようになり、常にたくさんの子どもたちが家にいる状態でした。
子どもたちが小学生の頃は、そうしてたくさんの子どもたちとゲームなどをしながら過ごしていたのですが、子どもたちが中学生・高校生となるにつれ、子どもが集まって遊ぶということは少なくなっていきました。けれど逆に、親御さんや、我が家に来ていた子どもの友人などから、心配事等があったときに相談を受ける機会が増えるようになってきました。
私は会社員だったので、相談によってはひとりで受けることはできませんでした。そうしたときに、友人たちにも
助けてもらいながら、相談にのっていました。

そんなとき、私と周りの人の関わりを見ていた知人に、「里親をやってみたら?」と言われたんです。里親のことはその時に知り、よくわからないながらも児童相談所(奈良県中央こども家庭相談センター)に電話をして話を聞き、里親登録をすることになりました。 

初めて預かった子は中2。家に来てとても緊張していました。

———-初めて預かったのはどのくらいの年代の子どもでしたか

初めて預かったのは、中学2年生の女の子でした。我が家が初めて預かるということもあり、事前に本人と面談していました。なので、預かることになる当日までに、部屋を可愛らしくしたり、家族みんなで本人を喜ばせようと色々と準備をしました。本人の持ち物も少ないと聞いていたので、本人のイメージに合う服なども選んで用意していました。

———-家に来て、どんな感じで過ごしていましたか?

とにかく緊張している様子でした。何か言うと返事はするのですが、表情も固く、緊張していることが伝わってきました。私は、彼女の肩の力が早く抜けるように、「普通に過ごしていいんだよ」「普通にくつろいでね」など、いろいろと声をかけていました。

———-その言葉かけで緊張がほぐれたんでしょうか?

いいえ、全然違いました。というよりも、完全に逆効果だったんです。
本人は初めて他の家庭で暮らすわけなので、とにかく緊張しており、何が「普通」なのか、自分がどう見られているのかを常に気にしていたんです。どう過ごしたらいいのかだったり、どう食事をしたらいいのかだったり、常に緊張していたところに私が「普通でいいよ」と声をかけたものだから…
なかなか緊張がほぐれないので、ある日話を聞いてみたら、そういうことだったみたいです。。

———-その後は話ができるようになりましたか?

私も「普通で」と無意識に言っていたのをやめたり、年が近かった長女が一対一で話をする時間をもってくれたり、少しずつですが緊張がほぐれていきました。もう我が家から巣立って何年もたちますが(*1)、先日ひょっこり訪ねてきてくれました。あのときはこうだったよね!そういうのお父さんらしいなぁ等、当時の話で盛り上がりました。あんなことがあった!そうそう!と笑いあいながら思い出話をしていました。
*1 里親制度は児童福祉法上の制度になるので、18歳の誕生日の前日で措置期間が終了します。

ひたすら「おはよう」と言い続けたこともあります

———-その後も中学生や高校生を預かることが多かったのですか?

里親として数年預かるほか、一時保護などで預かることもありましたが、中高生が多いように思います。

———-里子さんたちは里親さんのことを何と呼んでいるんでしょうか?

私たちから、「お父さん」「お母さん」と呼んでほしいとお願いをしています。最初はためらいがあるようですが、我が家には同じ年代の長女と長男がいたので、自然とそう呼ぶようになっていきます。
呼び名は関係ないとは思っているんです。でも、将来の家族のモデルになれるよう、自分たちが「親代わり」をする、という決心のような感じでもあります。
また、朝起きたら「おはよう」、食事を食べるときは「いただきます」、帰ってきたら「ただいま」「おかえり」、そして寝るときは「おやすみ」。そうした当たり前のことが当たり前になるよう、毎日声をかけています。まぁ、中高生なので、「おはよう」と言っても返事が返ってこないこともあります。そんなときは、返事が来るまでひたすら「おはよう」と言い続けたこともありました(笑)。

専門学校合格は、「人生で2番目に嬉しい!」

———-大変だったことなどはありますか?

高校生の里子を預かった時のことです。なんだか元気がないな、という日が続いたことがありました。心配なので本人と話をする機会をもちました。すると彼女は、我が家から出るのが不安、将来が不安、ということを口にしました。我が家は養育里親として預かっているので、制度上は18歳で我が家から出ていくことになります。そのあと、里子たちはひとりで暮らしていかなければなりません。将来やりたいことがあっても、仕事も生活も、すべて一人きりでおこなっていかないといけません。その子はある資格を取得したいと思っていて、そのためには専門学校に行きたいという目標がありました。そうなると学費も含めて一人で賄わないといけないんです。

———-その後はどうされたんですか?

子どもの夢を応援してあげたいんですよね。
ちょうど彼女が高校での成績は良かったので、学校の先生にも相談し、給付型の奨学金を徹底的に探しました。本人も勉強を頑張り(*奨学金の受給要件に成績が考慮される場合があります)、学費や生活費にある程度めどがついてきました。合格発表は一緒に行きました。掲示板に彼女の受験番号を見つけたときは、感無量でした。

———-本人も嬉しかったでしょうね?

本人も大喜びでした。けれど、「人生で2番目に嬉しい!!」って喜ぶんです。こんなに勉強を頑張って、他もいろいろがんばって専門学校に合格したというのは、私だったら人生で1番嬉しい出来事だと思うので、不思議に思って彼女に「これが2番目だったら、人生で1番目に嬉しいことは何なの?」聞きました。

「お父さんの家に来て(鈴木さん宅のこと)、誕生日を祝ってもらったこと!」と彼女は笑顔で答えました。

彼女にとって誕生日に「自分のための」ケーキが用意され、「自分のための」プレゼントがあるということが、こんなに大きなことだったのかと言葉を失いました。おそらく、自分を認めてもらえる場所だと感じたのでしょうね。

   

子どもの夢を応援してあげたい、子どもの力になりたい

———-里親として、大切にしていることを教えていただけますか?

先ほども言ったように、子どもの夢を応援してあげたい、それが全てです。
そのために自分に何ができるのかと考えたとき、我が家に来る中高生の子どもたちには、まず最初に「何になりたい?」と聞くことにしています。そしてそれを全力で応援してあげたい。だからそのために今何が必要なのかということを一緒に考えます。料理や洗濯などの家事を、ちょっと口うるさく言うこともあります。将来困らないようにしてあげたいんです。けれど、18歳というタイムリミットがあるので、いつも「子どもたちのために、もっと時間がほしい」と常に思っています。18歳で家を出るとき、子どもたちは先が見えない不安に押しつぶされそうになります。その不安を少しでも小さくしてあげたい、子どもの力になりたいと思っています。

———-ありがとうございました。 


 未だに一人一人の顔もエピソードも浮かんできますという鈴木さん。折に触れ「子どもの力になりたい」と語る表情が印象的でした。

次回は3月掲載の予定です。お楽しみに!
 

 

 ◇偶数月は「さとおやミニ講座」開催中◇(該当ページにリンクします)

 

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